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EJ20 系チューニング
 
何馬力までイケるのか?
 

EJ20 系チューニング
何馬力までイケるのか?


私自身、今まで WRX-STI を 6台乗り継いで来ました。
数えきれないほど自分の WRX-STI をパワー計測して来ましたし、ほかの人のパワー計測も沢山見て来ています。
また、イベントやオフ会などで実際にお会いした方々から、ご自慢の愛車とパワー計測グラフを見せて頂いた事も数えきれないほどあります。
おそらく EJ20 系エンジンだけで言ったら、私ほどパワー計測結果を見て来た人間は居ないのではないでしょうか (^^ゞ
 
さて今回は、あくまでも見て来た中での話になりますが 「 EJ20 系エンジンチューニングは何馬力までイケるのか? 」 のホントのところ。
チューニング別にいろいろな角度から見て行くことにします。
 
 
まず初めに書いておきますが、これから書くのは 「 普段乗り 」 をしているごく一般的なチューニングカーの範囲でのお話です。
とことんいじったショップのデモカーとか、サーキット専用とか、パワー計測記録用の一発勝負のようなセッティング車両は含まれませんので、あしからず。
 
 
 
では意外とありがちなパターンのお話から始めましょう。
例えば、組合せやバランスはあまり考えず、要所ごとに好きなブランドや買いやすいパーツを取り付けて行った場合。
吸気系は A 社、エキマニやメタキャタは B 社、マフラーは C 社など、好みとか予算優先でチョイスして組み上げて行った車両だと 320 〜 340 馬力ぐらいが多いかな。
いろいろと数多く社外パーツを取り付けていても思ったほどパワーが出てない、セッティングしてもパワーが出づらい、…ってパターンです。
チューニングって、やっぱり基本はトータルバランス。
性能の良いパーツを相性も考慮してバランスよくチョイスするのがキモとなります。
無論、適当な選択でも偶然ベストバランスになって、もっともっとパワーが出る事だってあるかとは思いますが (笑)
「 パワーを出したい 」 という目的ならば、あまりお薦めは出来ない方法です。

逆に 「 パワーよりも見た目とか好みが優先 」 ってお話であれば、全部メーカーがバラバラでも個性的な組み合わせが楽しめる面白い方法だと思います。
だって、結果はどうあれ、あれこれとパーツを選んでいる時が一番楽しいしね。
 
 

では次に、メーカーを統一してチューニングしていく場合。
エンジンはノーマルだけど、HKS 製のエアクリ、メタキャタ、マフラーを装着。
ECU もフラッシュエディターや F-con iS などを使って現車セッティングした場合は 340 〜 380 馬力ぐらいが一般的。
年式や車両個体差やチューニングの方向性などの違いで計測結果は大きく変わるけれど、だいたい 350 馬力前後が出てれば個人的には OK かと。
私の感覚では、だいたい 350 馬力ぐらいがひとつの境界線と言うか目安になっていて、やっぱりこの境界を越えて来る車両はパーツのチョイスも含めて良い出来の車両が多いですね。

ただし、駆動系や足まわりなども含めた耐久性を考えるならば、350 〜 360 馬力ぐらいにとどめておくのがお薦めかな。
費用対効果のバランスも一番良いと思います。

それを超えて 380 馬力ぐらいまで行くと、駆動系は乱暴に扱うと壊れやすいし、普段から丁寧に乗っても 1 〜 2万キロ程度で各部にガタが出やすくなります。
まあ、仮にフルノーマルでもプロのドライバーがガンガン攻めまくる走りをすれば、新車でもすぐに傷んでしまう事さえありますからね。
だからいじってパワーを上げれば丁寧に優しく乗ってたとしても、強化してない部分の耐久性は当然落ちて、メンテナンス周期はどんどん短くなってしまいます。
ある程度思いっきり走らせたいならば、クラッチはもちろん、各部マウント、ペラシャフやデフ、アクスルやハブベアリングなどのこまめなメンテや強化を考えないとダメです。
また、オイルクーラー、大容量ラジエター、エアロボンネットなどの熱対策も必要になってくるでしょう。
「 乗ってて気持ちいい、パワフルで強烈 」 って感想も多いなか、「 気を使う、乗りにくい 」 っていう車両が増えてくるのもこのぐらいの馬力からの傾向でもあります。
見方を変えて、昔ながらの言い方をすれば、「 気を使って乗りにくいからこそ、本物のスポーツカー 」 なのかも知れませんが。
 
 

更に次のステップに進んで、上記に加えて大容量タービンで武装した場合。
400 馬力前後から、400 馬力以上も夢ではありませんが、ノーマルエンジンでは耐久性が無いので長持ちしないのが一般的。
ある程度の安全性を得たいならば、強化ピストン、強化コンロッド、強化クランク、強化メタルは必須になってきます。

ちなみに型式・年式によってはピストンが棚落ちしやすい EJ20 もありますから、フルノーマルで乗っててピストンが逝ったなんて話も無くはありません。。。(^^ゞ
しかも棚落ちって、非常に厄介なんですよね。
大概の場合、ピストン 1個ぐらい棚落ちしても異音は殆ど無いんです。
町乗りぐらいではまず気づきません。
パワーもそこそこ出て 「 いつもよりは少しだけ元気ないかも? 」 って程度には普通に走っちゃう。
だけど崩れたピストンの欠片がエンジン内部を傷つけて取り返しのつかない事になったりもするから要注意です。
 
 
さて、ピストンやクランクを強化品に交換するならば、いっそのこと排気量アップで 2.2 リッターを考える人も多いですよね。
でも、ただ 2.2 リッターにしただけでは大してパワーは上がりません。
なぜなら、市販の 2.2 リッターキットで得られる総排気量は 2123.5cc しかないのです。
( 排気量は端数を切り上げるのが正式なので、正確には 「 2.1 リッターと少々 」 でも 2.2 リッターと呼びます )
EJ20 ノーマルの 1994.3cc との差は、たったの 約 130cc です。
容量的には普通のコップの約半分ほどしか排気量が上がらないので、そのままでは大してパワーは上がらないんです。
2.2 リッター化は、あくまでもエンジン内部の耐久性を向上させるのが主目的。
2.2 リッターエンジンで大きくパワーを上げるには、大容量タービンの導入や、その大きなタービンに合わせた吸排気系の更なる高効率化が必須です。
ここまで行けば 400 馬力越えの普段乗り可能な仕様も有りです。
ただし、各部の強化やメンテナンスの頻繁化、それと燃費の悪化も考えると費用対効果はあまりよくは無いって事をお忘れなく。。。


今回はここまで。 m(_ _)m



備考

記事掲載日 : 2020/08/04