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チューニングのボーダーライン その3
 

チューニングのボーダーライン その3


【 これまでのお話し 】
チューニングのボーダーライン その1
チューニングのボーダーライン その2

さて今回は全く視点を変えて 「 時代によるボーダーライン 」 について書きたいと思います。

まずは、1970年代 〜 1980年代初頭。
今では信じられないぐらいですけど、純正部品以外は全て車検に通らないような時代でした。
キャブ交換、社外マフラーに交換、エキマニ交換も車検NG。
そもそも社外マフラーとか車検に通るような音量じゃなかったかも (笑)
それでもエンジンから純正キャブを外してソレックスやウェーバーに入れ替え、排気系も総交換。
当時はまだまだキャブ全盛時代で、吸排気・燃料系は簡単にいじれたんですよ。
ホント、このぐらいならまあまあよく見る改造でした。
ソレ・タコ・デュアル ( ソレックス、タコ足エキマニ、デュアル管マフラーを装着済みって意味 ) なんて言葉もあったっけ。

車高調なんてまだ全然なくて、あるのはレーシング用サスと、ストリート用サス、この2種類のバネ。
基本、調整出来ないので、2巻カットとかバネ切断して車高を落とすという荒っぽい事も当たり前の時代です。
あとは純正ショックを社外のオイルショックとか、エアショックに変えるぐらい。
コニー、モンロー、トキコあたりが定番だったかな。

外装はフルエアロと呼べるようなモノはあまり無く、チンスポイラー、オーバーフェンダー、トランクにウイング。
この頃はまだ純正はフェンダーミラーでしたので、ドアミラーへの付け替えも流行りましたね。

もちろん、全て車検NGでした。
…と言うか、車検に通す方法が確立されていなかった時代ですね。
( 実際、車幅とかエンジンとか色々と変更して公認取ってる車両は稀にありました )

でもね、どういうワケかボーダーラインなんて無いかの如く、いじりまくった車両も多かったんです。
まあ、車検は通らなくても普段はある程度は容認 ( 黙認? ) されていた時代だったんですよね。

無論、ある程度の自重と言うか、それこそ見えないけれど、そこに確かなボーダーがあったのかも知れません。
一定のところまでならば、社会に黙認されていたのがこの時代のチューニングです。
( 普通に売られているカー雑誌に、そういった車両の公道走行の様子が普通に掲載され、それが許された時代です )



その後、海外からの圧力で貿易摩擦解消のため、自動車部品の輸入などが盛んになり、社外パーツが合法の時代に。
一定基準を満たせば 「 車検適合部品 」 として認められ、なんの問題も無く使うことが出来るようになりましたが。。。
そのルール決めがどんどん行われてゆく中で、チューニングに対してどんどん厳しくなってしまいました。
自由を得た代わりに責任が発生するように、これは必然の流れだと思います。
今思うと社外パーツ合法化が逆にチューニング業界の首を絞める未来を引き寄せた気がしてなりません。
少なくとも 「 ルールによって管理されるモノ 」 になってしまったワケですから。
ある意味、ここが 「 時代のボーダーライン 」 と言いますか、ターニングポイントになったのは間違いないでしょう。



時代は進み、バブル崩壊、温暖化・環境問題もあって、エコが主流になりチューニングは衰退期へ突入。
それでも 「 カスタマイズ 」 と言葉を変えて、車いじりを好む人々は一定以上ちゃんと存在していましたが。。。

究極のエコは車に乗らない事ですから、車自体の存在意義も問われ、結果として若者の車離れ現象を招きます。
もちろんネットやケータイなど、車以外にお金のかかる事が増えたのも原因ですが。
そして時代は繰り返すと言わんばかりに、近年のディーラーにおいては社外パーツ排除の傾向がことさら強くなりました。
まるで再び社外パーツ車検NG時代がやって来そうな勢いです。
実際、法的に合法なパーツでも、ディーラー的に車検に通させない、と言う流れはとっくに来ています。

まあ、車離れが増えれば顧客の囲い込みは必然であり、そう言う意味では社外パーツ排除は自然な流れです。
純正オプション品のエアロとか昔は無かったけど、今ではメーカーが用意したモノが充実してますもんね。
社外を排除し純正で供給。
この今の現状を見て判るように、囲い込み商戦略として確実な成果を得られていると言えるでしょう。

だけど、このまま社外パーツ排除が進んだら、行きつく先はいったいどんな時代になるんでしょうね?
古き良き(?) 昭和のような 「 許された時代 」 は絶対に来ないでしょうけどね (苦笑)



備考

記事掲載日 : 2022/12/31