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連載企画 【 APEXi製・ブーストコントローラー:AVC−R 】
 
あくなき追求 ・ セッティングは終わらない! 【 第8話 】
 
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 F-conS を取付けて現車合わせでセッティングを行なった結果、パワーもトルクもアップし、
 パワー曲線、トルク曲線も非常に綺麗なラインになったと言えます。
 
 この現車合わせのセッティングは、安全性を第1に考慮し、エンジンが本来求める燃調に
 近づける方法で行なったので、超ショートストロークで高回転型エンジンの特長が
 そのまま反映されたような特性ですね。
 
 例えば、最大馬力の発生ポイントは、
 
  F-conS 装着前 → 310.6 PS / 6033 prm
  F-conS 装着後 → 334.3 PS / 6325 rpm
 
 また、低回転側で、200馬力が発生するポイントを見てみると、
 
  F-conS 装着前 → 200 PS / 4000 prm
  F-conS 装着後 → 200 PS / 4300 rpm
 
 となります。 装着後は、全体的に高回転側へ 300回転分シフトしています。

 ある意味これは、エンジンの素性の通りの性格になったと言え、エンジンがのびのびと
 持てるパワーを素直に引き出した ” とても素直な ” 状態であろう。(笑)
 
 
 じゃあ、せっかく ” とても素直なエンジン ” になったワケだから、
 この特性に 「 自分好みの特性 」 を加えて、肉付けしてやろうと考えてみました。
 
 人間的に表現すれば、「 素顔にお化粧をしてやる 」 って感じでしょうか(笑)
 
 まあ、自分なりのアレンジってやつですね。
 
 
 ★ 無闇に最大ブースト圧を上げるのはやめましょう。(^^ゞ
   最大値を上げるよりも、立ち上がりを速くしたり、タレ防止のセッティングが
   比較的安全でお奨めです。
 
 ★ 改造やセッティングは、ご自身の責任の範囲内で行って下さい。
   なお、公道では交通ルールを守り、安全運転してくださいね(^^ゞ
 
 
 ▼ どう、アレンジを加えるか考える
 
 色々なアレンジがあると思うが、まずは高回転側へシフトした分を補ってやろうと思います。
 つまり、低回転側のパワーとトルクの向上。
 
 
   
 
    ↑これが、↓こんなふうに、ならないかなぁ。。。 ってゆー実験です。(^^ゞポリポリ
 
   
 
   ※ 青で書いたラインを目標に、アレンジを加えたいと思います (^^ゞ
 
 
 
 ▼ スタートデューティー値をいじる
 
 これまで AVC−R をいじって来た経験上、下側のパワー&トルクを増やすには、
 スタートデューティー値を上げてやるのが有効だと言えます。
 
 ブースト圧の制御が始まる部分は、このスタートデューティー値を変えてやることで
 ブーストの立ち上がりが変化し、下側のパワー&トルクも変化します。
 そこで、徐々にスタートデューティー値を上げやり、様子を見てみる事にしました。
 
 
 しかし、この実験を繰り返す中で、とある事に気が付いた。
 
 ・・・と言うのも、本来は学習の対象ではないスタートデューティー値の変更ですが、
 スタートデューティー値をあまり大きく変更を加えてしまうと、ある程度を越えた時点で、
 どうも全体的な DTY値にも影響を与えて、結果的に学習しているように思えるのです。。。
 
 
 
 【 回転数別 DTY値の変化 】
 
   
 
 
 【 赤 】  F-conS を取付ける前の DTY値
 
       ・ スタートデューティー値
        1速: +30 %  2速: +10 %  3速: +5 %  4速: +2 %  5速: +1 % 
 
 【 紫 】  F-conS 取付けセッティング時の DTY値
 
       ・ スタートデューティー値
        1速: 0 %  2速: 0 %  3速: 0 %  4速: 0 %  5速: 0 % 
 
       ※ セッティングはダイノパック式・シャーシダイナモの上で行なったため、
         実走に近いとは言っても、空気抵抗などの負荷が無いので、
         実走時よりもブーストがかかりにくく、DTY値は通常よりも高めになります。
 
 【 青 】  F-conS 取付け後、ある程度走らせて学習した状態の DTY値
 
       ・ スタートデューティー値
        1速: +30 %  2速: +12 %  3速: +6 %  4速: +3 %  5速: +1 % 

 【 緑 】  F-conS 取付け後、かなり学習が進んだ DTY値
 
       ・ スタートデューティー値
        1速: +30 %  2速: +12 %  3速: +7 %  4速: +5 %  5速: +2 % 
 
 
 
 今まで、低いギヤ ( 1〜2速 ) のスタートデューティー値は、変えても回転数別の DTY値は
 あまり変化しなかったのですが、高いギヤ ( 3〜5速 ) のスタートデューティー値をいじると
 このように、回転数別の DTY値に変化が見られるのです。(^^ゞ
 
 高いギヤ ( 3〜5速 ) 側で、大きくし過ぎると、回転数別の DTY値が下がる傾向にあるようです。
 
 
 では、この回転数別の DTY値の低下が、パワー&トルクにどのように影響するか、
 実際にダイノパック式・シャーシダイナモで計測を行なってみました。
 
 
 
 ▼ いざ、計測開始!
 
 【 1〜2回目 計測 】
 
   
     ↑ 1回目=赤のライン  2回目=緑のライン
 
 1回目 ( グラフでは、赤のライン )
 
  スタートデューティー値を 7 まで上げて、計測してみました。
  ( F-conS のセッティング時と比べて +7UP )
 
  ちなみに計測は4速のギヤで行なったので、スタートデューティー値も4速の所を変更。
 
  1回目の計測では、4500回転あたりで、1.3以上のオーバーシュートを起こし、
  そこから AVC−R がオーバーシュートを抑えようとして、急激なブーストカットが発生。
 
  まあ、それでも方向性は間違っていないようで、目的の 4000回転前後は馬力もトルクも
  格段に上昇しています。
 
  4000回転時は 200馬力( +25馬力 )。 トルクは 36.5Kg/m( +4.5Kg/m )
 
  しかし、最大馬力はブーストカットで伸び悩み、マイナス14馬力。。。 (T^T)クゥー
 
 
 2回目 ( グラフでは、緑色のライン )
 
  2回目の計測では、やや学習したようです(笑)。
 
  同じスタートデューティー値のまま、2回目の計測を行なうと、ブーストカットは起こるものの、
  その後は何とかもちなおして、1回目と比べると最大馬力はプラス5.2馬力。
 
  5000回転付近で落ち込んだせいで、その分、最大馬力の発生が遅れているのが
  特徴的ですね。
 
 
 
 【 3回目 計測 】
 
   
 
 スタートデューティー値だけでなく、回転数別の DTY値も、それぞれプラス10ぐらい上げて
 計測してみました。( ある意味、とっても無謀(苦笑) )
 
 驚くことに、4000 回転で 225馬力( +50馬力 )、トルクは約 40Kg/m( +8Kg/m ) !!
 
 しかし、、、やっぱりブーストカットが起きるので、まともに回転が上がって行かず、
 パワーカーブもトルクカーブも、5000回転以降は、ガタガタです。。。。 (^^;; ヒヤアセ
 
 それでも、1→2回目の計測の時のように、AVC−R は、これで学習したと思うので、
 セッティングを変えずにそのまま4回目のトライ。(^^ゞ
 
 
 
 【 4回目 計測 】
 
   

 
 さすがに無謀な事をやると学習も早いようで(笑)、3回目と同じセッティングでありながら
 割とまともなグラフ曲線になりました。
 
 それもそのはず、DTY値を見てみると、もとの数値に近い値へと、あっさり上書きされていた。(笑)
 
 
 ここまでの結論として、スタートデューティー値を上げてやれば、パワーもトルクも低回転時から
 底上げされて、数値的にもハッキリと差がでる事が判りました。
 
 しかし上げ過ぎてしまうと、オーバーシュートの確率も非常に高くなり、ブーストカットが頻繁に発生して、
 結果的には下の回転域で大きくパワーアップしても、上の回転域ではパワーダウンします。
 
 特に計測を行なった4速のギヤは、もともとブーストがかかりやすいギヤだし、
 そこへ +7 もスタートデューティー値を上げてしまうと、オーバーシュートがひどくなって
 AVC−R が必死でブーストを安定させようと、ブーストカットをしてくるワケです。
 
 これがスタートデューティー値 +2 ぐらいのアップであれば、もっと安定して上の回転域への
 つながりも良くなり、最大馬力の損失は無いのかも知れないです。
 ただし、低回転域のパワーアップ量も少なくなり、結果として少ない変化となるでしょう。
 
  ※ 本来は、スタートデューティー値を+2も上げれば、充分に体感出来て満足なのですが、
    せっかく実験しているワケなので、もっと大きな変化が欲しくなってくるんだよね(爆)
 
 また、当初の予想通り、直接の学習は無くても、スタートデューティー値を大幅にいじれば、
 各回転別の DTY値に影響が出て、結果的に学習して行くことも判明しました。
 
 この学習した値を基に、大幅に数値変更しても、適正値へと戻されてしまうので
 スタートデューティー値の上げ過ぎは、あまり意味が無いと思われます。
 
 
 もっと下のパワー&トルクをグンとアップしながら、最大馬力の損失を抑える方法は無いだろうか?
 
 ・・・とは言っても、これ以上の無謀なトライは、クルマにも良くないので、とりあえず計測を打ちきり
 今回の計測で得たデータを基に、色々と考えて見ることにしよう。
 
 
 
 ▼ 必殺・必勝セッティング
 
 ここまでで判った事を、箇条書きにしてまとめみました。
 
  ・ スタートデューティー値のアップは有効。確実に低回転域のパワー&トルクが増大する。
    しかし、オーバーシュートがひどくなると、上の回転域でパワーダウン。

  ・ ブースト圧設定 1.2 に対して、1.3より上へとさらにオーバーシュートして行くと、
    ブーストを下げるためのブーストカットが急激にかかる。
    (オーバーシュートと言うよりも、むしろ、かかりすぎと言った感じ )
    実走行では体験出来なかった事だけに、新鮮な発見だ(笑)。
 
  ・ オーバーシュートがひどくなると、本来は学習対象ではないスタートデューティー値の変更も
    各回転別の DTY値に影響を与えて、結果的に学習の対象となるようだ。
 
  ・ 学習すると、各回転域の DTY値を書き換えてられてしまう。
    大幅にスタートデューティー値を上げても、代わりに各回転別の DTY値を下げられてしまう。
 
 
 さて、上記を踏まえてよく考えてみると、キーポイントとなるのはオーバーシュートの発生。
 
 スタートデューティー値を大幅に上げると、オーバーシュートが発生するので、
 これが引き金となって、
 
   ブーストカット → 学習 → DTY値ダウン → パワーダウン
 
 と言うチャートが連鎖反応的に起こるようです。
 

 じゃあオーバーシュートを検出させなきゃ良いワケだ!
 
 って感じの ” 逆転の発想 ” でセッティング方法を考えてみました。
 
 
 問題となるのは、4500回転〜6000回転あたりで起きるブーストカット。
 この回転域でオーバーシュートしても、それをオーバーシュートと判断させなければ
 ブーストカットを阻止できるので、高回転域までパワーを持続出来るのではないか?
 
 オーバーシュートと判断させない唯一の方法、それはブースト圧設定の変更です。
 ブースト圧設定を上げてやれば、今までオーバーシュートになっていた数値も
 設定内となってオーバーシュートではなくなる。
 
 しかし、全体的に高めにブースト圧設定を行なうのは危険を伴うと思われるので、
 5000回転ぐらいまでの設定を変更してやれば良さそうだ。
 
 また、F-conS のセッティング時に判った 「 ブースト圧1.2以上は、エアフロ計測値の限界 」
 も考慮して、最大馬力が発生する 6000回転付近では、ブースト圧を 1.2 にする必要がある。
 ( これは、個体差もあると思うので、あくまでも私のGDBの場合のお話。 )
 
 と、言うワケで、
 
  5000回転ぐらいまでは、ブースト圧の設定を 1.30
  5500回転で、ブースト圧の設定を 1.25
  6000回転以上は、ブースト圧の設定を 1.20
 
 にセット。
 
 これは ” 第5話 ” でも紹介した、AVC−R の持つ特殊能力である 「 回転数別のブースト設定 」。
 あの 「 必殺・必勝セッティング 」 を応用して、ブーストカットの阻止を試みて見ようと思います。
 
 
 
 
 ▼ 実際のセッティング
 
 【 ブースト圧の設定 】
 
         
         
 
  あまり1.2以上はかけたくないのが正直なところだが、
  エンジンの最大出力付近で1.2まで落としてやれば、
  低〜中回転域は、ある意味ノーマルの頃と同じように
  1.3でもOKかも? と言う発想で、この設定です。(笑)
  それと DTY値が適正になっていれば、学習によって
  5000回転ぐらいまでは、まず1.3まで行かないと判断。(^^ゞ
 
 
 
 【 DTY値 】
 
         
         
 
  実走データではなく、とりあえず予想で数値を決定。
  今までの経験から、このぐらいが妥当であると判断しました。
  もちろん、実走・学習をかさねて行くことで、理想値へと変化させてやります。
 
 
 
 【 スタートデューティー値 】
 
     
 
  F-conS を取付ける以前の設定に戻してみました。
  回転域別の DTY値を少し高めにセットして、逆にここは下げています。
 
 
 
 【 フィードバックスピード 】
 
     
 
  設定内容としては、以前と変わりません。
  ブーストをタレさせないセッティングだと、ここを上げてやればOKですが、
  今回のように、ワザと高回転域でブーストを下げるセッティングでは
  数値を下げたほうがよいのかも知れません。。。
  でも、高回転時のブースト圧設定は以前と同じだから、このままでも良いかも?
  まあ、悩んだ結果、様子を見ると言う事で変更無しです。
 
 
 
 【 ギヤ別学習設定 】
 
   
 
 ワザとしては、ある程度学習を行なったら、ギヤ別学習をOFFにすると言うのも
 ありだと思います。
 
 
 
 ▼ まとめ
 
 まずは実走・学習を行なってやって、このセッティングをこれから煮詰めて行こうと思います。
 これが有効かどうかの答えは、まだまだ先にならないと見えて来ないですね。(^^ゞ
 
 特にフィードバックスピード値の設定と、ギヤ別学習の OFF と組合せると
 より理想に近いブーストコントロールが可能になってくるんじゃないかな。
 
 もちろん、セッティングを煮詰めて行く上で、もっと違った方法が出てくるかも知れませんので
 今回は急いで結果を求めず、コツコツと進めて行きたいと思います。
 
 まあ、今回の実験で判った事は、
 
  ・ 高いギヤ ( 3〜5速 ) では、スタートデューティー値を上げすぎてはいけない
  ・ AVC−R は本当に長く楽しめる
 
 って事ですね(笑)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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